西の魔女が死んだ:梨木香歩

着付け講師で、着物の先生、呉服店のてるよ女将こと山口哲代です。
先日、着物の整理収納でお伺いした兵庫県のお客様が教えてくださった本を読んでみました。
梨木香歩さん作「西の魔女が死んだ」です。

西の魔女とは

この本は、西の魔女(おばあちゃん)から、東の小さな魔女(主人公のまいちゃん新中学一年生)へ届ける応援歌です。
魔女と言っても、ファンタスティックな物語ではありません。

英国婦人のおばあちゃんは、不思議な力を持った女性。
おばあちゃんのおばあちゃんもそうだったので、そういう血筋という設定。
おどろおどろしい魔女ではなく、普通の人よりスピリチュアルな力がある、そんな感じでしょうか。
英国からどうして日本へお嫁にきたのかも、きちんと書かれています。

あらすじ

中学校へ進学したまい。
まいは、自分で決断した行動(あまり周りに同調しすぎないことなど)をとったことによって、クラスで孤立してしまい、学校へ行けなくなってしまった。
「もう、私を傷つける学校へは行かない」と、決めたまいに、お母さんもおばあちゃんも決して「行け」とは言いませんでした。

まいのお母さんのお母さんは英国人。おじいちゃんは日本人です。
ハーフだったママも日本の学校には馴染めなかったから、クウォーターのまいの苦労が分かったのかもしれません。

まいは、しばらく大好きなおばあちゃんの家で過ごすことにしました。
田舎のおばあちゃんの家は、空気もよく、家で居るよりもまいの喘息も出にくいと考えたからです。
そこで過ごした約一か月間の物語です。

豊かな自然描写と自然な暮らし方


英国婦人のおばあちゃんのお家の周りは、ハーブや自然がいっぱいです。
なんと!洗濯機は壊れてしまって無い設定。

この本を読みながら、いろいろな植物を私も知ることができました。
キンレンカ、銀竜草、行儀芝、かやつり草、朴木、ハシバミの木・・・
ハーブもたくさん。
使い方も出てきて、なんだか得した気分です。
鳥も沢山出てきます。
シジュウカラ、コガラ、エガナなどなど。
とにかく手に取るように自然を描ける梨木さんはステキです。

魔女になりたいまいちゃんは、おばあちゃんに付いて魔女修行をはじめます。

魔女修行?!

まず、取り組むことは、早寝早起き、食事をきちんと摂る、運動をよくする、規則正しい生活。
宵っ張りのまいちゃんにはムツカシイ・・・

そして、ここがポイント。
一番大切なのは、意思のちから。
自分の事は自分で決めて、決めたことはやり通す力!

そう。
これって簡単なようで、一番むつかしいですよね。
怠け心やあきらめの心が出ても続けることは本当にムツカシイ。
それでもあきらめずに続けると、あるひ突然階段を一段登れる。

魔女修行も、人生も仕事も。
何事も決して、常に右肩上がりではないんですね~。

自分で見たい、聞きたいものだけ知ることができるのが魔女で、
そうでもないものがどんどん入ってくるのは
とても煩わしくて危険だそう・・・
だから自分で決める意志の力が必要なんですね。

近所に住むゲンジさんのことで結局おばあちゃんとは仲直りしないまま、お別れの日を迎えてしまいます。
まいちゃんは単身赴任中のお父さんの所へお母さんとともに引っ越すことに決めたのです。

そうして二年後。おばあちゃんは亡くなってしまいました。
けれど、約束通り、まいちゃんに、メッセージを残してくれていました。
それは、是非お読み頂きたいと思います。

人生の舵取りは自分で。

生きていくと言う事は、本当にいろいろあります。
どう生きるか。
それを決めるのは自分自身。
自分の人生の舵は、自分で取らねばなりませんね。
他人に舵を渡してはいけません。
そうして、取った舵取りの責任は、やはり自分自身。
人のせいにはできません。

魔女修行の言葉は、そのまま人間修行の言葉です。
私も、心も体も元気に生きていこうと思います。

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