その日のまえに 重松清
その日って、どんな日?
でも文庫本の表紙の絵を見たらすぐにわかった。
いつか無くなってしまう自分の命の最後の日なんだなぁ・・・
「その日のまえに」どうすればいいのだろう。
七つの物語
この本は七つの物語からできている。
最初の四編はそれぞれ異なる物語。
そして最後の三編は「その日の前に」「その日」「その日のあとで」と続いている。
けれど、最初の四編の登場人物たちが、最後の三編に少しずつ絡んでいることがわかる。
そこが見つかると、とても得した気分になれると思う。
ひこうき雲
スタートの物語は、大人になった勉が、小学六年生の頃の自分を振り返る話。
主人公は、飛行場のすぐ近くに住んでた。
同じクラスの女の子が病気になって、クラスの何人かとお見舞いに寄せ書きを書くことになった。
入院した女の子は、どちらかと言えば気が強くてみんなに煙たく思われていた女の子。
そんなに仲良くもないし・・・寄せ書きをどう書けばいいのか。
そんな場面から物語はスタートする。
現在の主人公は、六年生の息子がいて、奥さんと一緒に祖母のお見舞いに行く。
その場所が、当時クラスメートが入院していたが所の近くだった。
飛行場のちかくだからひこうき雲なのかというと、そうではないことがこの物語を読めばわかる。
文章を読めば、その光景が目に浮かぶよう。
そして、幼い頃の自分を思い出す。
子供の頃の気持ちをこうも描ける重松さんはすごいなぁと、思った。
朝日のあたる家
八年前に夫を突然亡くしたぷくちゃんこと福田先生が主人公。
女手一つで娘を育てている。夫を亡くしてはや八年。
そんな時、教え子の二人に再会する。
いろいろな問題をかかえている教え子とのやり取り、
夫を急に亡くしたぷくちゃんの心。
朝日のあたる家とはどういう意味なのか。
命は続くと思っていても、突然断ち切られることもあるという切ない現実を見つめるぷくちゃん。
ぜひ読んでほしいなぁ。
それと、教え子二人の名前を覚えておくといいかもしれません。
潮騒
四二歳で突然余命宣告された男性が主人公。
余命宣告された日、二年間だけ住んだ町へ出かけて、同級生に会う。
その当時、海の事故で同級生が亡くなり、主人公のせいではないのに、
「ひとごろし」と呼ばれた辛いかこのある町へと出かけた主人公。
幼馴染に、「余命」の話をし、さまざまなことを振り返る二人。
人の寿命は本当にわからないのだと、あらためて思う物語だった。
ヒア・カムズ・ザ・サン
母一人子一人の親子が主人公。
駅前で路上ライブをしている子も含めて物語は展開していく。
ヒア・カムズ・ザ・サンとは、ビートルズの歌なのだけれど、
どういう意味か?
果たして二人はどうなっていくか。
不思議な出来事もあって、なんだか少し神秘的な話でした。
せつないなぁ・・・
その日のまえに
死を目前にした妻。夫婦で新婚時代に住んだ町へ旅をする。
さまざまなことが思い出される。これからどうしやって、その日を迎えたらよいのか・・・
悲しいけれど時間は残り少ない。
懐かしい街で、二人は寄り添う。
その日
とうとう妻が亡くなる日を迎えてしまう。
その日のことが丁寧にえがかれている。
どんなに、悲しいことも、逃げられない。
その日は必ずやってくる。
私たちに覚悟はあるだろうか?
その日のあとで
亡くなった後もダイレクトメールはやってくる。
そのことがどんなに辛い気持ちにさせるのか、改めて考えさせられた。
そして、妻からの一言の遺言・・・
子供たちと残された主人公はどうやって生きていくのか。
最後の花火のシーンで一筋の光明が見えて、ホッとする終わり方だった
命は有限
全ての話が命の話。
命は人の思うようにはならないということを
何度も何度も描かれる。
一つの覚悟のようなものが、確かにある。
生まれた以上、いつかは死ぬのだけれど、その日がいつになるのかはわからない。
最後の話のように、だんだんと弱っていくのかもしれないし、
ぷくちゃんのご主人のように突然かもしれなし。
そしてすべての話がつながっていることに、気が付くと思う。
重松さんの話は、とても身近で、よくわかる。
同世代だからかもしれないなぁ。
直木賞をとった「ビタミンF」はまだ読んでいないけれど、好きな作家さんがまた一人増えました。
会社名 | 株式会社 山善 |
場所 | 〒770-8056 徳島市問屋町46番地 |
定休日 | 日曜午後、祝日、 第一・第二土曜 |
営業時間 | 午前8時半~午後5時半 |
TEL | 088-623-2366 |
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