コートの基礎知識

徳島繊維卸問屋㈱山善のてるよ女将こと山口てるよです。
着付け教室のせいとさんから、ご質問を頂きました。
「なんだか袖がもごもごするんですけど、これってどうなの?」ということです。

コートの形いろいろ

どちらも冬に着用する防寒着ですが、少し異なる点があります。
それぞれの特徴を上げてみます。

道中着(コート)
道中着のバチ衿

昨年の初釜に参加するとき着用したのが道中着のバチ衿です。
着物の衿に添うような衿元になっています。
ひざ下まである丈です。

道中着 広衿
道中着 広衿

こちらは、卒業式に着た道中着ですが、丈が短めで、広衿になっています。
どちらもコートの種類なんですが、丈によってイメージもずいぶん変わります。
ほかにも道行コートという形

道行コート
道行コート

こちらは四角い衿で、ボタンで留めるようになっています。
着脱も簡単で、裾のラインが真っすぐで、きちんと感がでます。
内側にポケットもあるんですよ。

次に着物衿のコート

着物衿コート
着物衿コート

着物の衿のようになったコートです。
紐が衿についていて、ゆったりした感じ。
丈も長めの事が多いです。裾線は真っすぐ。

このようにコートにはいろいろなデザインがあって、

他にも被布衿、みやこ衿、千代田衿のコートなどもあり
とても楽しいものです。
丈も形も自由自在に楽しめます。

但し、外出用なので、室内では脱がなければなりません。
これはマストね。
室内で、着たままだと笑われますので要注意。

写真を見ていただいたらわかるのですが、着ている間、帯は見えません。
長時間着ている場合、帰りには帯を解いてコートだけ着ておいてもわからないので便利です。

コートのサイズ感

また、寒い場合は羽織の上にコートを重ねてきることもあります。
そのため、裄丈は着物より1.5cm長く作ります。
そして、防寒のため、袖付けも着物より1.5cm長く袖をつけます。
そして、袖丈は着物の袖が外に出ないよう、1.1cmほど短く作るのです。
ですので、袖がもこもこするように感じる訳ですね。
袖の振りから寒気が入るのを防ぐためにも有効な方法だと言えます。

コート丈はお好みで良いと思います。
着物の色柄が見える丈、長く着物を覆う丈と、コート丈によって、見た目も雰囲気も全く異なります。
お好きな形、お好きな長さで、一枚お持ちになると、いいかもしれませんね。

雨コートは雨に濡れないよう裾まで覆います。
長さの調節が必須です。
衣文の抜き方、締める帯や帯枕の高さにも左右されます。
じっくり決めていくことが大切ですね。

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