まひるの月を追いかけて:恩田陸
久しぶりに読む恩田陸さんの作品。
先日奈良を旅したところなのでとても面白かった。
あらすじ
静は異母兄 研吾を探すために奈良へ。
研吾の女友達と奈良を巡る旅は、どういう意味を持つのか。
育ってきた成育環境の及ぼす影響がどれほどのものなのか。
優佳利や妙子の気持ちとは。
切なくてやるせない物語だった。
奈良という場所
奈良って、本当に歴史の宝庫。
そして忘れていることが、いかに多いか、この本を読んで再認識した。
主人公たちが歩く奈良は、深い歴史をたどる旅でもあり、美しい景色でもあり、
もう一度奈良を旅したくなる一冊だった。
橿原(かしはら)神宮から始まる奈良の旅。
奈良はたくさん歩いて巡る印象が強い。
橘寺や中宮寺など、見てみたい場所が沢山出来た。
日常の風景に溶け込むように様々な史跡が残っている不思議な街、それが奈良なんだなぁ。
死がつきまとう物語
この本には「死」が付きまとう。
様々な人の死を通して物語が進行していく。
月とウサギの話もしかり。
おぼろげなまひるの月。さんさんと輝く太陽のひかりによって、姿は儚い。
人は死んでしまうと、いつの間にか時とともに忘れられてしまうもの。
結局、人も 「まひるの月」のようにおぼろげな存在なのかもしれない。