魂手形 宮部みゆきさん

徳島繊維卸問屋 ㈱山善のてるよ女将こと山口てるよです。
お家時間を楽しく過ごすために読書はぴったり。
本屋さんへ行くのが大好きな てるよ女将です。

本屋さんへ行くと一時間くらいすぐに過ぎちゃうね(笑)

宮部みゆきさん魂手形
魂手形

昨日読んだのは、宮部みゆきさんのシリーズ、三島屋変調物語の第七段です。
このシリーズは、江戸時代、神田の三島屋さんで繰り広げられる物語。
当時の人々が体験した不思議な話を 三島屋の聞き手に語るというもの。

語る人は、語って語り捨て。
聞く人も聞いては聞捨てがルールとなっています。

このシリーズ、当初はおちかさんが聞き手となっていましたが、
今は富次郎さんが聞き手となりました。

黒白の間というお部屋に通されたお客様が富次郎さんに語る、
不思議な物語が今回も三篇収まっています。

火焔太鼓

最初語る若者は、二十代の若々しいお侍さん。
物語の中では、小新左と名乗られています。
語り捨ての物語なので、名前も藩名もすべて架空。
とてもきれいで清冽なお侍さんが語るのは、自身の藩の不思議な話です。

その藩には大火事が起こることは無い。
それは火焔太鼓という不思議な太鼓に守られているからだとか。
火事が起きるととの太鼓を打ち鳴らすと、火事は広がらず、収まっていくという、
不思議な火焔太鼓。

小新左は10歳、兄、柳之助は21歳。
父母はすでに亡く、嫂(あによめ)のよしは兄より5つ年上ですが、料理上手な兄嫁さんです。
そんなある日、お城から大きなほら貝の音が聞こえてきます。
今まで聞いたことのないほら貝の音。
それから物語は怒涛の展開を見せます。

火焔太鼓とはどういうものなのか、どうして火事が収まっていくのか。
不思議の陰には悲しくつらい話がありました。

話は聞捨てにされるのですが、富次郎は一枚の絵を書いて、おしまいにいたします。
どのような絵を書いておしまいとするのかも、見どころの一つです。

一途の念

今度の物語の主人公は団子屋さんの女の子。
富次郎が好んで買う団子屋屋台の団子。
醤油味と甘辛い味。どちらもとてもおいしい。
その屋台の主、おみよが語る、物語はとても悲しく不思議な話。

当時も屋台を出すということは、縄張りやみかじめ料がかかり、とても難しい。
甘い味を付ける砂糖を買うのはとても難しいはずなのだ。
それでも、美味しい団子を売ることができるには、それないりのいきさつがあるのだ。

物語が動き出すのは、おみよのお母さんが死んだところから。
おみよが語る黒白の間の話は、辛くて悲しい物語だった。

その話を聞いた富次郎は、果たしてどんな絵を残すんでしょうね。
(決して団子の絵ではありませんよ)

魂手形

この、本の題名にもなっている物語。
まあ、とにかく怖いですわ。
どうして、こんなに怖い描写が出来るんだろう?
宮部みゆきさんの底力を感じました。
読むのは夜なんですが、まあ眠れない。
でもやめられないんですよね。

今度の話のスタートは、最初の物語の聞き手、おちかの懐妊の喜びから始まります。
三島屋一家が喜びにあふれている様子がなんともほほえましい。

そしてそこへやってきたのは、粋な浴衣姿の男性 吉富さん。
吉富さんが語る魂の里の物語は、恐ろしくすさまじい物語り

吉富は、幼い頃、母に捨てられ、厳しい祖母に育てられていた。
その吉富を救ったのが、継母のお竹。
木賃宿を一緒に切り盛りして、とても流行っていた。
その木賃宿に泊まりに来た七之助。
ここがすべての「おそろし」のスタートだった。
彼の眼の調子が悪く、しばらく逗留することになるのだが、
それによって知ることになる数々の物語。
それはそれは悲しく不思議な話。

描写が事細かく、とても怖い。
さて、この物語のおしまいに、富次郎はどんな絵を書いて終わにしたと思いますか?
そして最後に見た夢に出てきた人は誰でしょう?

次の話が待ち遠しいシリーズです。

読者登録

前の記事

帯枕の話

次の記事