あきない世傳金と銀8~10 高田郁(かおる)

徳島繊維卸問屋 ㈱山善のてるよ女将こと山口てるよです。
高田郁さんのあきない世傳金と銀の8~10巻を読みました。
7巻を読んでから大分日があいたので、少し心配しましたが、読みだしたらすらすらとわかるもんですね。
よかったです。

あきない世傳金と銀

八巻はまさにコロナ禍を思わせるストーリー

七巻で、江戸小紋を庶民に広げる術を見つけてホッとしたのもつかの間、
八巻では、はしかが江戸に広まるストーリーとなっています。
町から人が消え、お葬式が相次ぎ、モノは売れず。
まさに、今の日本と重なるところが大きくて、とても驚きました。
作家の高田さんは、こんな状態は想定していなくて、ご本人もとても驚いたそうです。

当時の江戸でも、麻疹は「いのちさだめ」と言われ、生死を分ける病だった様子。
せっかく制作した小紋ですが、人々は生きていくことに必死なので、売れません。
それでも前を向いて生きていく五鈴屋の人々の奮闘が描かれています。

そんな中、お上から千五百両もの上納金を命じられてしまいました。
いかに


女名前の特例で7代目を襲名した幸。
その特例期限も迫ってきます。はたしてどうなってしまうのだろう?

そんな中、苦労をして、新しい小紋の型の図柄が完成します。
これは、当たること間違いなし。やれやれ。と思った矢先、
大事件が起こるのです。

悲しみの9巻 救いは出てくるのか

せっかく苦心の末にできた型紙を失ってしまった五鈴屋。
妹を失ってしまった幸。
悲しみの上に、覆いかぶさるように罠が仕掛けられます。

型彫り師の機転で、同じ小紋を堂々と販売できるようになったものの、
大きな罠によって、五鈴屋は、絹物販売が出来なくなってしまいます。

どこまで苦労は続くのだろう・・・
絹物が扱えないので、木綿の着物をあきなう事になった五鈴屋は、
木綿の反物を浸け染めして小紋柄を何とか出したいと奮闘する。

しかし、なかなか上手くはいかなかった。
そんな中、出てくる書物が「菜根譚」という本。

かたく筋張った根菜は、よく噛まねばならない。
それと同じで、人は不遇や逆境を噛み締め、乗り越えることで真の人生を味わい
多くの事を成し遂げると言う事が書かれた本です。

五鈴屋に飾られた言葉には跡があって、その意味を解説してくれたのは、幸の兄の知り合いでした。
その言葉が、まさにコロナ禍の今を乗り越える知恵袋のように感じたのは、私だけではないはず。

100年に一度は流行る病。
人智を結集して乗り越えねばなりませんね。

そして!
ついに!
木綿の着物の型染め、そして浸け染めが成功します。

やっと!ホッとする十巻

艱難辛苦を乗り越えてきた幸と五鈴の面々。
大阪から出てきた菊枝とともに、新しい未来へと布石を打っていきます。

この時代も情報戦略は必要で、まさに「秘すれば花」
ひそかに、確実に歩んでいく幸。
そして、いかに一気に広めるか。
知恵を出し合い、成功に向かってひた走ります。

最後梅さん二人が幸せに♥
救われた10巻でした。

3巻を通して

「買うての幸い、売っての幸せ」
この本の背骨はそこに尽きると思います。

どんなに苦労をしても、もうダメかも、と思っても。
そこだけは、全員が貫く姿勢でした。

軸がふれないって、ホンマに大切!

そして、着物に関する正しい知識が、山のように詰め込まれています。
引き染めとか、浸け染めとか、
柿渋で作られた型の話、藍染めの話。
どれも正確で、本当に面白かった。

和の色も沢山出てきます。
想像しながら読むだけでワクワクします。

高田さんの深い知識と着物愛にあふれた作品でした。

高田さんは世間が暇になる2月8月に新刊を出されているそう。
次は8月かな~。楽しみです。

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