トワイライト:重松清
徳島繊維卸問屋山善のてるよ女将です。
私は小説が大好きで、時間があれば何かしら読んでいます。
重松清さんの本を読みました。読んでいるようで読めていない作家さんです。
トワイライトあらすじ
トワイライトは、東京郊外たまがわニュータウンで育った、私と同世代の人たちの話です。
当時はたくさんの小学生が通っていた小学校ですが、今や人口減少によって小学校は廃校になり取り壊されることになりました。そこで、小学校に埋めたタイムカプセルを取り出すことに。
久しぶりに会う同級生たち。戸惑いと懐かしさが入り混じります。
そこから始まる出来事が書かれています。
初恋あり、友情あり、思い出あり、現実あり。
友との再会によってパンドラの箱が開かれたように、様々なことが浮かび上がります。
小学生の頃の記憶
私はそんなに沢山、小学生の頃の明確な記憶が残っていません。
それでも、何かのきっかけで溢れるように思い出すのかもしれませんね。
この本の物語も記憶を呼び覚ますきっかけが「タイムカプセル」でした。
登場人物たちもなぜ、こんなものを入れたんだろう?と首をかしげるものも入っていました。
この本が書かれた2001年に主人公は39歳。
今は2018年なので今なら56歳!まさに重松さんと同い年の主人公たちです。
つまり、私も同じということ(笑)
描かれている当時の様子や、社会現象まですべてがピッタリとあてはまり、もう何とも言えず懐かしい気持ちになってしまいました。
そして主人公の克也は「のび太君」のあだ名でよばれています。
ジャイアンもしずかちゃんもスネ夫もいるクラスでした。
当時、どうしてジャイアンはそんな行動をとったのかも、大人になった彼らから語られていて
とても面白かったです。
小学生には小学生の気持ちがあったんだなぁと、あらためて気が付きました。
大人になって当時の気持ちを振り替えられるなんてちょっといい感じです。
主人公たちの現在
懐かしい思い出ばかりではなく、主人公たちの現在の様子も詳しく描かれています。
順風満帆な人はいません。
みんな、なにかしらトラブルや、困難を抱えて生きています。
1990年にバブルが崩壊し、失われた10年を社会に出て直ぐ経験してきた主人公たち。
その後もITバブル崩壊、リーマンショック、などなど厳しい社会状況は続きましたもんね。
ああ、もう読んでいて、「そうだよね、そうだよね~、大変だよね」と胸がキュッとなりました。
そんな中、DVがおこったり、リストラが起こったり。
それでも、物語には救いがあって、胸が熱くなりました。
これからどう生きる?
気が付けば、もう55歳。子供たちも成人しました。
明らかに40代とは体力も気力も違いますし、社会状況もスピード感もちがいます。
とにかく、スマホの普及によって情報量が格段に増え、スピードも速くなりました。
バブリーな時代を知らない子供たちの生き方も、私たちとは全く異なります。
AIが席巻し、これから先の10年は全く異なる時代となるでしょう。
それでも、人としてどう生きるか。
少子高齢化社会、人口減少社会をどう生きていくべきかを問われているような気がしています。
未来は予測不可能ですが、「今」を丁寧に生きていくこと、それだけは心に刻みたいと思いました。