クロスファイア(下)宮部みゆき
念力放火能力を持つ少女かおりちゃんを助けるべく動く警察の石津ちかこと牧原。かおりはどうなってしまうのか。
淳子は接触してくる新しい組織のメンバーと会う決心をする。
近づいてくるメンバーがどういう目的なのかわからないまま。
多田一樹の現状を知りたい気持ちで。
淳子はとても純粋な女性だとよくわかる。
木戸浩一が案内して多田一樹を見かけた淳子。
淳子と気づいた一樹
そのシーンがとても印象的だった。
石津ちかこは伊崎四郎と再会する。
警察をやめて警備会社に就職した先輩の伊崎が三田奈津子にかかわっていたからだ。伊崎にも悲しい過去があることを知るちかこだった。そして伊崎には奇妙な癖があるのだった。
そして石津と牧原は多田一樹から淳子にたどり着くのだった。
ガーディアンと名乗る組織の一員となった淳子と
木戸浩一との距離が縮まる。
そして最初の仕事は、なんとかおりちゃんだという。
かおりちゃんにも念力放火能力があるという。
それを聞いた淳子は真剣に助けたい、力になりたいと思ったであろう。
その作戦会議でガーディアンの第三の男が出現する。
キャプテンと名乗るその男は果たして?
木戸浩一と淳子は作戦会議のあと、「パラレル」という店に行く。
淳子と一樹の思い出の店だ。
そこで淳子は浩一の孤独を感じ取り、それを愛へと変えていくのだった・・・
ところが最後までハッピーエンドとはならない。
本当に切ない終わり方をしてしまう。
淳子という女性の生き方の何と切ないことだろう。
けれど一筋の光明ももたらされて物語は終わる。
救いのある終わり方だ。
この物語は淳子の愛の物語なんだなぁ。
あとがきを読んで、この物語の前に存在する作品があることを知った。
そちらも読んでみたい。
特殊能力を持つ者が幸せかというと苦労が多いことが分かった。
その人にならなければわからない苦労や幸せが、やっぱりあるのだなぁ。