きいろいゾウ:西加奈子

西加奈子さん2008年の作品。2012年に宮崎葵さんと向井理さん主演で映画化もされています。10年以上前に書かれた作品ですし、ストーリーも何となく知っていましたが、読んでみました。

あらすじ

武辜(むこ)歩=夫と妻利(つまり)愛子、夫婦二人の物語。
愛子の父に結婚を反対されて駆け落ち同様に結婚して、九州に近の町で生活を始める。

愛子は、心臓に病を抱えていて、いろいろな動植物の話ことばが聞こえる不思議な力を持っている。
歩は、小説家で背中一面に鳥のタトゥーが入っている。

そんな二人の日常を淡々と丁寧に、色鮮やかに描いているのだが、歩に届いた一通の手紙から試練が訪れる。
二人はどうなってしまうのか。

色彩豊かな

歩も愛子も話し言葉が関西弁なので、関西弁がわかるかどうかで、
小説の理解度は違うかもしれない。
紙の本なのに、読んでいると色鮮やかな映像が目の前に浮かんでくる。

西加奈子さんの筆致は鮮やかで繊細だとつくづく思った。

ムコさんもツマも、個性的で魅力的なのだけれど、
ご近所の方々や、動物・植物、自然描写も含めて
とても素敵なのだ。

南の島だとわかるだけで、太陽の光や海の色がより一層鮮やかさを増す。

月の存在の大きさを再認識できた。
人は、自然界の一部なのだなぁ。

お互いの存在

平和な二人のままで終わらないのが西加奈子さん。
大きな出来事で二人はどう成長するのか。
辛い時間もきっちり書いて、最後はハッピーエンドでした。
様々な伏線も丸く収まってホッとできます。

ムコもツマもお互いの存在がいかに大きくて、大切か再認識できたのだった。
最後にツマは、動物や植物などの声が聞こえなくなる。
それでいいのだと思う。

大地君

小学生の不登校児、大地君の存在が、とても大きい。
この物語のキーパーソンだと思う。
彼の存在が無ければ、この物語は薄っぺらくなること間違いなし。
小さいけれど、とても人として大きな存在であり、
自分たちの幼いころの気持ちを思い起こさせてくれる大地君。
こどもって本当に素敵だなぁ。大切にしたいと心から思う。

きいろいゾウの話の幸せな不思議も、彼が解き明かしてくれる(笑)


 

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