クロスファイア(上) 宮部みゆき
徳島繊維卸問屋 (株)山善のてるよ女将です。
宮部みゆきさんの現代小説「クロスファイア」についてです。
クロスファイアの物語の前に一冊本があるのを知らず、いきなりこの本から読みましたが
まったく問題なく楽しめました。
この本は、1998年にカッパ・ノベルズににて刊行されたのが最初のようです。
クロスファイア(上)
主人公、青木淳子の持つ特殊能力、念力放火能力によって、物語はスピーディーに展開していく。
初っ端から、とても危険な展開で、目が離せなくなる。
最初に見つけた瀕死の男性藤川に頼まれたことは「彼女(ナツコ)を助けて。」だった。
その願いをかなえるために、念力放火能力で多くの人を葬った淳子。
それなのに、ナツコをせっかく見つけたのに
あと少しの所で最後に死なせてしまった淳子だった。
暴走するシーンも描かれるのに、なんだかちっとも嫌な感じがしないのは、
宮部さんの筆致のなせる業だと思う。
その物語の上に、警察官の石津ちかこ、牧原刑事、砧路子そして
淳子と同じ力を持つ少女、倉田かおりの出現が物語に厚みを出していく。
そうして、不思議な二人からの電話。これが何を意味しているのか、
二人は接近してきたなぞの組織「ガーディアン」だという。
彼らによって、淳子は最初の多田一樹の妹殺人事件の最後の犯人を葬る。
また、最後に牧原刑事の過去にも念力放火が関わりがあることがわかる。
そしてその犯人も淳子だと。何と悲しいことだろう・・・
淳子の元同僚、多田一樹との関りも描かれているので前作を読んでいなくても違和感がない。